奏良

愛にイナズマの奏良のレビュー・感想・評価

愛にイナズマ(2023年製作の映画)
5.0
衝撃…最近映画観て匂い感じたことほぼ無かったから忘れかけていたけど久しぶりにこの感覚思い出した。この映画が漂わせている2022年あたりの匂いすごい好き。空気がカラッとしていてどこまでも人間の面白さが広がっているみたいな。もちろん作中の人物と役者さんの公私は別物だとわかっているけど落合の話す姿で色々想起しちゃう。
普段はひっどい登場人物演じた俳優凄いって思うけどこの作品に関しては心底嫌いになりそうな現実味があって悔しい。でも絶対許せないようなやつがいる現代社会があったからこそそれに喰らいつく折村家の血をより感じられた。個人的に血の繋がりって創作以上にリアルの方が強い繋がりを見せることがあるのを知っているからこそ納得いく終盤だった。存在の確認ね、悪魔の証明みたいな不確かなものにどう説明づけて「理由や意味」をもたらすのかなと思ってたらやられた。館君のいることがここに来て素晴らしい意味を持ってしまったのも良い。そりゃもう一人あの場に居ないといけないんだから。
チャプター分かれてる作品最近よく出会うけど1番綺麗だった気がする。プロローグ酒愛カメラ金家族神様雷だったと思うけどうまくまとまってて良い区切り方。

最後のブレーカー落ちて蝋燭に火を灯した佐藤浩市が家族を見守る眼差しが素晴らしく温かくてここで終わってくれるなとわなわなした。死を前に心が満たされた父親が存在の確認を繰り返していたなんて、この上なく最高の幕引きだった。消えない男、今年の邦画で1番良かったかもしれない。
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