岩嵜修平

北極百貨店のコンシェルジュさんの岩嵜修平のレビュー・感想・評価

3.7
世界観としては『ズートピア』や『BEASTARS』などと同様に、動物が動物らしさを保ったまま人間のような暮らしを送る世界の話ながら、百貨店のみを描くことによって、場所そのものが多重な意味を持つ作りが素晴らしい。百貨店自体が絶滅危惧種な令和時代のメタ映画。

途中までは特定の客に手厚くし過ぎていて、客を選んでたりカスハラすれすれだったりとストレスが溜まる展開もあったものの、最終的には、愛すべきキャラクター達の様々な愛に泣かされた。絶滅種はもう戻らない。人間の罪滅ぼしとしての現世の先でのVIAに対する接客。カラフルで美しく夢のようだった。

声の面でも全く違和感は無く、完璧。tofubeatsの音楽も、言われなければ気付かないほど自然で気持ちよかった。板津匡覧監督、長編初監督のようだが、スタジオぎゃろっぷやマッドハウス出身で数々の傑作に作画監督で入って来たキャリアの方。コメディセンスもあるので、今後、様々な作品に期待したい。
岩嵜修平

岩嵜修平