fujisan

北極百貨店のコンシェルジュさんのfujisanのレビュー・感想・評価

4.0
新しく、クリスマスの定番映画に加えたくなる映画でした。

一生懸命頑張る、みんなと力を合わせる、夢を大切にする、相手の立場で考える、そんな当たり前のことをあらためて思い出させてくれる、やさしいお仕事映画でした。

いやー良かった。うん、良かったです😊


■ どんな映画か

西村ツチカさんの同名コミックをアニメーション映画化した作品。原作未見でも楽しめる映画でした。

内容的には「マスカレード・ホテル」のような感じで、百貨店の新米コンシュルジュ秋乃さんが様々な個性的なお客様に対応していく中で成長していく、お仕事ムービー。

特徴は、お客様が全て絶滅危惧種の動物であること。たとえばワライフクロウであったり、ウミベミンクであったり。

なぜ人間が絶滅危惧種のおもてなしをしているかというのには深い理由があるのですが、それがメインではなく、あくまでもお仕事ムービーとして元気がもらえる、優しさがたくさん詰まった心温まる映画です。


■ 特徴

なんといっても美しい映像に心掴まれました。

「攻殻機動隊」や「PSYCHO-PASS」などのProduction I.Gが担当した薄い輪郭に淡く美しい色調のアニメーションは極めて完成度が高く、完成までに数年間を要したというのも頷ける美しさです。

次にテンポの良さ。70分という短い映画というのもありますが、まったく中だるみなく次々にストーリーが展開されるので、もうちょっと見たいなと思っているうちに、終わってしまいました。

これだけ映画を観ていると、冒頭の5分ぐらいで映画の当たり外れを感じてしまうものですが、これは冒頭の5分でこれは当たりだと確信できた映画。百貨店の内装もかなり描き込まれていたので、何度も観たくなる作品でした。


■ 感想

どのショートストーリーもベタな展開で意外性はないのですが、新人コンシュルジュ秋乃さんの一生懸命さと、それぞれなにがしかドラマを持った特徴的なお客様(と言っても動物)との触れ合いが心に響いて、泣けてきます。

映画の色調はおそらく四季を表現しており、秋乃さんの研修期間も終わりが近づいた物語の終盤はクリスマス。

クリスマスの百貨店の賑わいって特別な雰囲気がありますよね。

関西人の私が思い出すのは、毎年クリスマスになると素敵な世界を見せてくれる、阪急百貨店うめだ本店のクリスマス・ショーウィンドウ。

ショーウィンドウの前で写真を撮る恋人たちや家族連れ、いつもはあまり見ない、宝飾コーナーで慣れない接客を受ける若い男の子など、いつもより少し早足の季節がまたやってきます。


毎年クリスマスシーズンになると観たくなる映画が何本かありますが、この映画もそのリストに加えたいと思います。

クリスマスまで上映してくれるか分からないですが、配信でもいいのでクリスマスにはまた観れるようになっているといいな。

『♪なーんでーもそーろーうー、 ほっきょく百貨店~ ♪』




2023年 Mark!した映画:317本
うち、4以上を付けたのは36本 → プロフィールに書きました
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