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ティン&ティナ -双子の祈り-のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

3.0
恐るべき子供という定番題材 

アルビノの姉弟・ティンとティノ
流産したことから立ち直れないままロラとその夫・アドルフォの元に引き取られたが、姉弟の信仰心と独自の聖書解釈が普通より異様な子供だと明らかになっていくホラー

スペイン民主化により政治が様々な因子を孕んでいた時期の時代設定
これが作中の何に影響する要素なのかピンときてないけど、政治が不安定だと民衆心理は信仰に向かう(という分析がある)中で敬虔だったロラが『神に無慈悲に赤ん坊を奪われた』と感じて無神論者になっていることと、それが姉弟の信仰心と絡んで様々に揺すぶられるのは良い転がせだったかも

姉弟が起こす行動は全て聖書解釈に則って行われている
・首絞め→落ちる寸前の意識朦朧状態での神との接触体験を得る手段
・洗うという行為と生き返りの奇跡についての解釈違い  
・両腕を拘束したうえでの"お世話"
・力技な洗礼
聖書の解釈違いが極みDVの様相

彼らを引き取ったロラとアドルフォがそこを把握し正す方向へ導く行動を積極的に行っているようには見えないことが、姉弟の異様さの劇的な強調まで達していないことの原因だろうか

スペインなインテリアや少し前時代的なファッションは可愛い、明彩がはっきり、明るい日差しが似合う陽気さ、修道院の壁に使われていたタイルの模様など

で、惨たらしい場面を惨たらしく見せれば正邪の対比と落差でショックを生みそうなのだけど、俯瞰か遮蔽物越しでの絵で終始する、ゴアやグロさはさほどない

本題の姉弟の異様さは"犬の洗濯"がピークだったなあ

流産して以降、セックスレスだったロラとアドルフォの間で、そこの修復がなされた時の一戦の場面、セックスしながら聖書の祈りの文言をつぶやかれるって、かなりイヤ、というか大分怖いと思うんだが……例えば日本だったら抱いてる/抱かれてる相手に念仏を唱えられるようなもんだと思うんだキリスト教徒圏の閨の営みでそれはわりと普通のことなん?
   
美術的な角度なら色彩などは見てて楽しい

この手の設定のホラーに馴染みがあるなら予想を裏切った展開に行かないので、そういう側面での安心の担保はある、面白さにつながるかは人による

個人的には突出した"何か"が欠けてるんだよあ……題材は好みなんだけど🙄