Jun潤

⾼野⾖腐店の春のJun潤のレビュー・感想・評価

⾼野⾖腐店の春(2023年製作の映画)
4.1
2023.08.22

藤竜也×麻生久美子。
予告から既にローテンポな昔ながらの人情もののような感じですが、出来栄えのほどは果たして。

平成が終わる頃の広島、尾道。
高野豆腐店では、毎日朝早くから父・辰雄と娘・春はせっせと豆腐を作る。
商店街の人達にも愛される二人。
自身の体の不調に気付き、春の将来に不安を感じた辰雄は友人達を頼って春の結婚相手を探し始める。
ついに見つかる春を好きでいてくれる春にふさわしい男。
翌年の春、春が会わせたがった男性は辰雄の思いもよらない人物だった。
高野豆腐店の一人娘・春を見つめる辰雄、辰雄を見る春、そして二人に訪れる春という恋の季節を描く。

てっきり群像劇か会話劇のように淡々と進んでいくザ・な感じの邦画かと思いきや、キャラも立ってるわ描写は回収しまくりだわの笑って泣けるハートフルドラマ。
序盤は可愛いおじいちゃん達による春のお見合いドタバタ大作戦の様相で、藤竜也のギャップのある演技の振り幅もあってこちらの口角を上げにかかってきていました。

中盤あたりはふみえさんの事情もあり、若干の反戦プロバガンダも挟みつつ、ビターな終わり方をするのではと不安に駆られたりもありましたが、その辺ももう積み上げてきたキャラの魅力とストーリーの深みが感じられていたので作品の評価を落とさずに済みました。

最後の締めも幸福感を満載にしつつ、豆腐と人生を繋げて作品の独自性も確立していました。
タイトルクレジットやエンドロールも可愛らしくて、全体的に良い作品でしたね。
Jun潤

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