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仮面ライダー555(ファイズ) 20th パラダイス・リゲインドのsugenonのレビュー・感想・評価

2.8
終劇となり劇場に灯りが戻る頃、わたくしはベソベソと泣いていた。
元々一緒に観にいこうと約束していた妻や娘と来なくて良かったと思った。

(この後あんまり作品と関係ない自分語りです)

平成ライダーの4作目である555が放映された2003年は娘は4歳、長男は2歳になったばかりで、妻は次男を身ごもっていた。
自身の転勤で地元から離れた雪深い町で暮らす子供たちの娯楽といえば、テレビと、休みの日に家族で行く大きなショッピングモールぐらいである。
子供の時に仮面ライダー大好きだったわたくしがおもちゃ屋さんで555のベルトを息子に買い与え喜ぶ姿を見るのは何よりも幸せな時間だった。
その後、次男が小学校に入学した2010年から、わたくしは単身赴任となり今に至る。
子供たちの小中高を傍で見ることなく、今は三人とも成人してそれぞれの道を歩んでいる。

閑話休題

555は仮面ライダーの原点でもある「異形となってしまった者の哀しみ」が色濃く出た重く暗い作品である。
正義と悪という二極化でもなく、敵は味方となり味方は敵ともなっていく。
しかしながら7人の若者たちがもがき苦しみながらも未来を見て進んでいく光り輝く群像劇でもあった。
とても好きな作品だけに20年ぶりの正統続編は嬉しくもあり心配でもあった。

結果、観終わった後にベソベソと泣いている始末である。

65分という短い時間だったため、キャラクターたちの感情の変化や行動が唐突すぎる印象で「いやいやどうしてそうなる!」と突っ込んでばかりだった。
もう少し長尺でゆっくりと一つ一つのシーンを描いて欲しかった。
またシリアスとコミカルの同居は良いのだが、今作は子供向けではなく当時子供だった、そしてその子の親だったわたくしたち世代への555のその後を描いているわけだから、この時代におけるオルフェノクについてを深堀りして「人間とは?」にもっと焦点をあてて欲しかったとも思う。

と勝手なこと言ってはいるが、ラストバトルのシーンで主人公の乾巧が「わかってんじゃねえか!」とセリフを放った瞬間、もうボロボロ泣いていた。制作の皆様、わかってんじゃねえか!!!と。555はこうでなきゃ!
「闇を切り裂き、光をもたらす」それが555!
そこから一気に2003年の頃の子供たちとの思い出が蘇ってきて、エンタテイメントってすごいなと感慨深くなっていた。
自分の人生にほっこりとした幸せな記憶を作ってくれてたんだな。と

「今回別に劇場では見なくていいやー」と言っていた二人の息子も、いずれは子を持ちライダーベルトを買い与えるのかな?
そんな場面に立ち会えたら、またベソベソと泣くんだろうなあ、わたくし笑
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