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ボーはおそれているのsugenonのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.5
179分、覚めない悪夢をずっと観ている。
そしてそれは一気に終演を迎え、悪夢から目が覚めると何を観ていたのかあまり思い出せず不快感だけが胸に残る。
そんな映画でした。

アリ・アスター版の「ドグラ・マグラ」だなーってのが率直な感想。胎児の見ていた夢なのか、現実と妄想が入り交じり、生きているのか死んでいるのか、登場人物は目まぐるしく入れ替わる。屋根裏の父親が1番衝撃的(笑撃的でもある)

アンソニー・ホプキンス主演の「ファーザー」という認知症の老人の主観による映画がある。あれを観た時と似た感覚で、自分は正しいと思っているのに、記憶の混同や、時間経過が認識出来ず言いようのない不安に駆られるのを観客も一緒に味わう。本当に不安な映画。

ジェニファー・ローレンス主演の「マザー」という平和な家庭に次々と訪問者が訪れ、地獄の様相を呈していく映画がある。主人公がどんどんわけも分からず窮地に立たされていき、観客も吐き気をもよおすほどの不快感を一緒に味わう。本当に不快な映画。

それを全部ミックスジュースにして1度アリ・アスターが飲み干し吐き出したものを観客目掛けてぶちまけられてる感じで、こんな大きな規模感で公開してるのに、全く万人向けじゃないのが1番恐ろしいわ笑
前後の席から寝息が聞こえてきてたもの。

なんかテーマとか、教訓とか、あるのかなーとも考えてみたけど、恐らく、人間は身勝手で自分が良かれと思って生きているってことお前も自覚しろよ!お前の周りは迷惑してんのかもよ!くらいかなあ。生かされている自分と今の平和な暮らしに感謝です。

色々気になるシーン見返したいからもう1回観てみようかなーって思うわたくしは充分変態の自覚があります。

全くおすすめしない映画です。
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