このレビューはネタバレを含みます
肝心の乾巧も園田真理も「今更そんなことをする!?」という迷走を始める。コメディとシリアスのバランスも悪い。お世辞にも良くできたとは言えない迷作だが、しかし「仮面ライダー555」は紛れもなく名作で迷作なので正統な続編であることに疑う余地はないのであった。
65分って短っ!と思ったけど65分ギッシリ井上敏樹なので物足りなさはない。むしろこれ以上やられたら胃もたれして敵わん。のっけからハラワタがぶち撒けられ、人が灰になり(これはテレビシリーズからそうなんだけど今考えたら日曜の朝からなんて映像流してたんだ)、海堂はラーメン屋を営んでおり(!)、ファイズはラー油で滑って必殺技に失敗し(!!)、草加はキ〇〇イスマイルで、オルフェノク同士のセッ〇スシーンがある。濃すぎる。最後のやつなんてニチアサ的には有り得ないが井上敏樹の小説読んでたら平常運転だもんな。
だから「いや〜生きてたんだね草加くん」という軽いノリで草加が馴染んでるのも、たっくんが洗脳されたわけでもなく普通に人生に絶望してオルフェノク滅ぼす側に回ってたのも、真理が「オルフェノクなんてなりたくない!」と言って自〇未遂するのも、どうしてそうなるんだよ!案件なんだけど、敏樹ってこうだよね〜で往年のファンは納得しちゃうと思う。やろうと思えば「ドンブラザーズ」も作れるけど(やろうと思ってやれるの凄えよ)素はこれだよね井上敏樹。
ビジュアル面で言ったら、新ライダーのミューズは原典のファイズやカイザと並んでも違和感なくて「ファイズ観てる〜」と思えました。ネクストファイズやネクストカイザもギミック含め20年後のファイズって感じで良い。そりゃスマホだよね。あと、新オルフェノクのデザインも良いよね。ヤモリとか蚊は分かるけどクイナ!?っていうマイナーなチョイスもオルフェノクだ〜って。あと、世界線的には交わらないはずの「パラダイス・ロスト」の映像が流れるような思わせぶりなところも、平成だ〜!って笑。
やたら渋い低音ボイスになった半田健人、キ〇〇イスマイルの切れ味が当時と変わらない村上幸平、アドリブぽい芝居がアクセントになってる唐橋充、年齢不詳の美しさな芳賀優里亜らオリジナルキャスト達は勿論、新キャラを演じる若手キャスト達も井上敏樹ワールドにやたら馴染んでいて良かった。泉正行の参加が叶わなかったのが悔やまれる。「生命線が伸びてる…」っていう、トボけているが実に切実なオチが胸に響いた。