きよぼん

グランツーリスモのきよぼんのレビュー・感想・評価

グランツーリスモ(2023年製作の映画)
4.0
dream come true!がいっぱい詰まった映画。

GTアカデミー設立者・ダニー・ムーア(オーランド・ブルーム)が熱く語るところから物語は始まる。「シミュレーションの力を信じてる」「車を乗ることに夢がみれなくなってきてる」「金持ちからモータースポーツを取り戻すんだ!」。モータースポーツが金持ちのモノじゃなかった時代なんてあるのか?なんていう疑問はさておき、このダニー・ムーアの狂気ともいえる、ゲーマーを現実のレースに出場させるという夢への挑戦。でもこれって人がコンピュータという存在に対して持ってる夢そのものなのだ。

世の中にはいろんな環境やら物理的な制約があるけれど、コンピュータが補助することで、超えられるのではないか。音楽や絵など、コンピュータの補助が入ることで自分の中にある才能が生かせるのではないか。また、ここ昨今のSNSによる個人の情報発信など、コンピュータが世の中の壁をぶっ壊し、可能性を広げてくれる。これはもうずっと、人がコンピュータに持ってきた夢であり、その実現を描いたこの作品が面白くないわけがない。

でもさすがにゲームから実車に乗るのは・・なんていう疑問にリアリティを与えるのが、アカデミーの教育係でありレーシングディレクター役のやさぐれ男・デヴィッド・ハーパー。

「ゲーマーがレーサーになれることを証明する?と逆にオレがゲーマーがレーサーになれないことを証明してやるよ」

とレース歴50年の鬼軍曹は容赦ない。ビシバシ鍛えられるシムドライバーたち。成功と挫折と栄光。この先は盛り上がるしかない。最初は相反してた彼らがわかりあい、ゲーム出身のドライバーはレ-シングのプロが思いつかなかった作戦をみせる。

あえて文句を言えば、レースファンの視点で言えば、ル・マンてあんなレースでしたっけ??とか、決着の付き方もっと工夫してよ、ダニーはあんなに熱弁してたのに意外と現実的なこといったりブレてない?とかいろいろある。だけどこの熱さはおすすめ。

ウソみたいな、まさかのbased on true story。この映画は、グランツーリスモを作った制作者からはじまったコンピューターに対する夢が、ドライバー、レース、そして映画にいたるまで、いろんなところで花開いている。dream come true!がいっぱい詰まった映画である。
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