きよぼん

デューン 砂の惑星PART2のきよぼんのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
3.8
矛盾することを書くぞ(´д`)

続編が公開されるときにあまり前作は見直さないんだけど、今回はみておいてよかった。観てなかったら、ハルコンネンって誰でんねん?になるところだった。劇場で3回観たのに結構忘れてたな。

特にポールの母のジェシカ(レベッカ・ファガーソン)の立ち位置。彼女はアトレイディス家の人間ではなく側妻で、秘密結社?ベネ・ゲセリットに近い人間であるということ。この設定が今作のキーのひとつだった

映像の方は文句なし。地平線が見える砂漠に降りたつ、そこまでデカイ必要あるんかという宇宙船。巨大なサンドワームに乗って砂漠を駆け抜けるヒャッハー!な爽快感。

意地悪く言うと、スケール感をごまかすために人物のアップに頼る作品もあるけれど、ヴィルヌーヴ監督の映画はカメラを引いて全景をみせてくれるところが魅力。

この俯瞰するショットの「間合い」に観てる観客は前のめりになる。ファスト映画や倍速視聴では、この「間合い」は体験できんのよ。映像の迫力と間合い。これぞ映画館で観るべき体験だ。

その一方で矛盾するけど、こういった作品は映画には向かなくなってるのかもな、とも感じた。

勢力争いが複雑になっていって面白いんだけど、終わってみると、え?この続きまた数年後なの?前回から何年も待ったのに?というガッカリ感もある。どんどん次の展開があり、謎解きがされていくテレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のほうに快感がある。

これがスターウォーズやMCUのような、わかりやすい明朗さがあればまた違うのだろうけど、今作は主人公ポールや、彼を取り巻く情勢も結構クセモノ。この展開を映画でやるのは待ちきれないし、次作を観るときには前の感情が消えて、また立ち上げ直しになる。もうこういった壮大な叙事詩は映画よりテレビドラマの時代かもしれない。

作品は面白い。が、
映画の快感と、映画ゆえの今の時代へのジレンマを持った作品に思えた。
きよぼん

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