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瞳をとじてのyksijokiのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
3.9
小説を読んでいるような感覚で3時間弱が進んでいく。行間を描きすぎないことによる余韻と、映画らしさを感じるテイストがとても良かった。展開の面白さとか爆発力とかそういうものではない映画的なニュアンスがあって、見終えたときに良い映画を見たという感覚の強さだけが残る感じが良かった。

非常に恣意的に顔のアップを捉えたカットが多くそこの使い方と、映画の中での映画というマトリョーシカ的な入れ子構造とその切り替えはとても印象的だった。ラストカットの対比もとても鮮やかで持ってかれた。

思いの外サスペンス展開になっていくのは驚いた。登場人物たちがつく小さな嘘が、別になにか綻びをもたらすわけでもないけれども棘として登場人物たちの心と物語に残っていくような気がしてそこがすごく良かった。

記憶、名前、名声
塗り替えたかったりやり直したかったりするものだけれども、全部ゼロにはできなくてどこかに残ってたり自分でそこを塗り替えたことにしたりしてやり過ごしていく。劇中での名前に関するやり取りがそれを象徴しているような気がした。

年老い方について語るフィルム倉庫のおじさんのセリフがとても良かった。希望と恐怖

キャスト★4.1
ストーリー★3.8
プロット★3.7
バイブス★3.6
演出★4.1
映像★4.0
音楽★3.6
全体★3.9
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