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瞳をとじてのryoのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
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画面奥から差し込む四つの窓からの自然光に始まる、光と影によって織られた映像の綾に見惚れ、静謐な親密さで夢のように流れる時間に浸っていたら、あまりに率直な信仰告白が行われて吃驚した。ドライヤー以降に奇跡はない、と言いつつ、フィルムを、スクリーンを、過ぎ去って目の前にはもうないはずの時間を眼前に甦らせる映画という記憶の魔法を、彼は誰よりも深く信じている。

映像には事実/虚構(想像)を原理的に識別する標は付いていない、ということについても改めて考えさせられた。

Triste le Roi(悲しみの王)。声を合わせて歌われる二つのメロディ。船乗りの結び目。身体が憶えているもの。手続き記憶とエピソード記憶。揺れるシーツと漆喰の白。
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