暴力と破滅の運び手

瞳をとじての暴力と破滅の運び手のレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
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80超えた監督の180分ある作品、いくらエリセとはいえ面白いわけがないだろと思って腕組みしながら行ったんだけど、信じられないくらいよかった……異様な先延ばし癖のある人がようやく遺作(じゃなかったらそれはそれで嬉しいけど……)となるべきマスターピースを撮ったんだなと思った。
デジタル以降のエリセといえば『ポルトガル、ここに誕生す』の短編で人間を喋らせながら廃墟を撮るだけで何十分も保たせるという信じがたいものを撮っていたんだけど、劇映画でも同じことができるんだと思った。本人以外がやったら許されないだろみたいなクソバカ極まりない自己パロディ映画もよかった。『エル・スール』も『ミツバチのささやき』も入っているし、でもそこでさらの未だ見たことのないものを撮ってくるとは思ってなかった。ここ数年続いた生前葬映画ジャンルでピカイチでしょう。