暴力と破滅の運び手

ファースト・カウの暴力と破滅の運び手のネタバレレビュー・内容・結末

ファースト・カウ(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

・骨が2つ並んでるってことはエッチな映画が始まるんですか?→エッチな映画が始まった…(しかも男二人の片方が全裸スタートした…)
・遡ることのできる現代のモーター船と遡ることのできないヨット
・「ここは本当にいいところだね」
・木のほうがやばくない? と思ってたら案の定木のほうがやばいという音の演出
・シルバニアファミリー ガラスがひとつもないおうち↔結露がやばいマナーハウス
・窓枠や板の隙間の使い方がいい。絶対にいっしょの枠に入らない薪割りシーンとか着替えを窃視とか。マナーハウスの結露窓のシークエンスは室内を映しつつ窓の外では幽霊ものみたいな雰囲気があって、音ではじめて室内の人間たちが二人に気づく、というのがよかった。
・マナーハウスのくだりはだいたいコミカルで良かった。
・緊張感がありすぎる搾乳とあんた牛にしか心開かれへんのかみたいなセリフのギャップにグッとくる。
・価値があるものならなんでも通貨になる感じがおもしろい。貝も銀貨も兌換紙幣も……
・移民同士では奪うことが気軽な選択肢になるが先住民はそうではない。手仕事をし続ける先住民とクッキーにはある種の相似性が当てはめられており、クッキーが頭を打って謎の先住民の夢を見るのはおそらくそういうことなのだろうと思う。資本主義側から成り上がろうと狙ったキング・ルーは夢を見ない(強いて言えば台詞にあるようなアメリカン・ドリームを見ていたのだろう)。
・奪わないと手に入らないものを具体的に思い描けてしまうクッキーのほうがタチが悪いというか、罠猟以前にもクッキー(が作る食事?)を巡ってサークルクラッシュ(死語)が起きていそう。ある種の「魔性」感がある。
・日本語版のあらすじにはクッキーもアメリカンドリームを狙ってオレゴンに来たって書いてあるけどそうではなくないか?
・出町座は何でストップ・メイキング・センスを地下階で爆音上映した? 自分の劇場の構造を理解していないのか? あとこの映画を見たあとにドーナツのレシピを見せられて誰が喜ぶと思った?
・リリー・グラッドストーンが銃を撃つ『ミークス・カットオフ』のほうが……と思いつつも、いい映画だったと思う。