櫻イミト

瞳をとじての櫻イミトのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
3.5
「ミツバチのささやき」(1973)のビクトル・エリセ監督(83歳)による40年ぶり3本目の長編劇映画。フィルムとデジタルで撮影。

※あらすじはFilmarks概要欄参照

冒頭の劇中映画が冗長で面白く感じられず不安になったが、その後は話が転がり始め最後まで楽しめた。セルフオマージュが随所に散りばめられ、宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」(2023)と同様に個人的な総括作品との印象だった。

2本目の「エルスール」(1983)は未完成作だったため、実質的に本作は50年ぶり2本目の長編完成作となる。なのでエリセ監督独自の画作りというものがあったかどうかはわからない。基本はセリフに従って1Sの切り返しを多用したオーソドックスな作りだった。これが名も知らぬ監督の作品だったら冗長がもっと気になったのではないか。

「ミツバチのささやき」は好きな映画だけれどエリセ監督を(他のどの監督もだが)神格化はすまい。実際は子役アナ・トレントの存在が同作の魅力の半分以上を占めていたと思う。57歳になったアナの出演も監督の総括に一役買っていた。
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