櫻イミト

家の櫻イミトのレビュー・感想・評価

(1976年製作の映画)
3.5
「シャイニング」(1980)の元ネタとされる家系ホラーの隠れた傑作。ユナイト映画が「キャリー」(1976)に続く “パラサイコ”シリーズ第2弾と銘打って公開。ダン・カーティス監督はテレビのホラードラマで活躍した人物。原題「Burnt Offerings(生贄)」。

ニューヨーク在住のベン(オリヴァー・リード)、妻マリアン(カレン・ブラック)息子デヴィッド、伯母エリザベス(ベティ・デイヴィス)は、夏休みのバカンスを過ごそうと新聞広告で見つけた貸別荘を申し込む。白亜の別荘に到着すると家主の兄妹は旅行中で不在。「2階の部屋にこもりきりの85歳の母に毎日食事を与えてほしい」との置き手紙が残されていた。楽しいバカンスが始まるが、ある日プールで遊んでいたベンが発作的に息子をプールに沈めようとしてしまう。この日を境に一家は心と体のバランスを崩し始め。。。

小さな違和感と狂気を積み重ねていくホラー。それだけにラストの畳みかけのインパクトが大きい。最後まで集中力を切らさず観れるのはクセの強い役者陣の力も大きい。これほど弱々しいベティ・デイビスは珍しく個人的には見どころの一つとなった。

見えない魔を描こうとする点は黒沢清監督が目指すホラーと近いかもしれない。最後まで正体不明な“悪夢に出てくるサングラスの男”は謎の既視感を喚起させる。ラストカットに写真が用いられるのは「シャイニング」がオマージュしている。
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