Tyga

瞳をとじてのTygaのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
3.8
各々の視線の交錯を描き続けた映画だからこそ、最後に来るものがある。
彼が背けたのは、過去の自分か、あるいはそれを見ている老いた自分か、はたまた……。

ここ最近、自分の人生をやり直したいと考えている人がいる映画を立て続けに観ていたので、何となくこの映画もそういう目線で観ていた。彼はあらゆる過去との関係を絶っていたわけではなくて、(無意識で)俳優であり父親である自分の過去を捨てた。彼はきっといくつもの顔を演じ分けるのに疲れ果てて、ただひたすら「優秀な仕事人」の自分でいたかったのかもしれないなと思った。

映画内映画が映画を挟み込んでいるような構成。劇中の「いい物語を書く代わりに自分の人生を最高傑作にすることを選んだ」という言葉が妙に心に残り続ける。

このタイトルはどうしても平井堅がチラつくし、なんなら行き道口ずさんでましたが、もしかしたらガルデルにとっても、ミゲルにとっても、瞳をとじて相手を思い描くだけが良かったのかもしれない。
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