蘭

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。の蘭のレビュー・感想・評価

4.0
戦争の中、懸命に生きた人々の思いに触れられる作品

現代の女子高生がタイムスリップする設定によって、今の時代に生きる私たちの思いが当時の人達とぶつかる、というシーンが印象的でした。

過去の事実として、結果や出来事だけを知っている私たちは、戦争は起きてはならない、と言えるけれど、当時を生きた人々は、戦争に巻き込まれ、それが当たり前の世界で。
大切な人が生きるどうなるかわからない未来を少しでも守りたいという気持ちでいたのかなあ、と
その思いを想像した時間。

何を大切にすべきか、若い人たちは周りの大人や環境から学んでいくけれど、周囲の人達が子どもたちや若者に何を伝えるかというのは本当に大切なことだと感じました。

高校生の百合が家族に対して感じていた不満が、彰の境遇とリンクしていて。
それでも懸命に生きる彰の姿から、現代の豊かさがより際立って見えました。
だからこそ戦争の悲惨さを痛感しました。

戦争映画として悲惨さを伝えるシーンが中心ではなく、人々の思いを表現するシーンを中心に置いていた構成が個人的にはとても好きだった。
現代の女子高生が当時の人々の思いをリアルに体験するという設定で、現代と当時の対比を感じられたし、とても感情移入させられました。

記念館のシーンは、社会科見学で行ったあの場所にあった名前や写真の方々の大切な人や思いはどんなものだったのだろう、と自分の経験を振り返る瞬間になりました。

ラブストーリーということもあり、客層に中高生が多かったことも印象的で、こういった映画から、事実だけではなく、私たちと同じように当時を生きた人々にとって、戦争がどういうものだったのか考えさせられる機会が生まれることはすごく大切なことだなと感じました。

みんなどんなことを思って見たんだろう。
蘭