Haruyuki

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。のHaruyukiのレビュー・感想・評価

3.5
 驚きであった。あちらもこちらも、あまりにもリアリティーを欠いている。一方、公開が結構長く続き、平日昼の入りをみても、それなりに埋まっている。口コミをみると、多くの方が「感動」を表明している。そのギャップ。
 言語も、表現も、人から人へ何かを伝えようとするならば、ベースとなる知の共有が前提となる。逆に言えば、何を共有しているかで表現は変わってくる。
 リアリティーといっても、もちろん、自分がその時代を「経験」しているわけではない。しかし、特攻隊とか、終戦間近の日本の庶民の生活とか、その時代の歴史に関する何らかの記録や作品に触れた経験があれば、今作の考証がちょっと簡便にすぎないかと疑問を持つ点が多かったと思う。これを逆に考えれば、今作の表現の方が、特攻やこの時代について理解しやすかった人たちが多くいる、という証明だともいえる。そこに感慨を催す。
 タイムスリップものとしての虚構の形にも注目していたが、何のことはない「邯鄲の夢」で一蹴された。
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