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パラダイスの夕暮れの一人旅のレビュー・感想・評価

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)
4.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
アキ・カウリスマキ監督作。

ゴミ収集人の男とレジ打ち係の女の不器用な恋を描いたドラマ。

フィンランドの巨匠:アキ・カウリスマキ15本目のレビューは、『真夜中の虹』(1988)『マッチ工場の少女』(1990)と共に構成される「労働者三部作」の第一作『パラダイスの夕暮れ』。ゴミ収集の仕事をしている男:ニカンデルとスーパーのレジ打ち係の女:イロナの出逢いと恋の行方を描いた恋愛ドラマで、他の作品同様にカウリスマキ監督の強い作家性が画面に横溢しています。

カウリスマキ映画に欠かせない特徴―無表情を貫く登場人物、人工的な台詞口調、歌謡調のバックミュージック、唐突な音楽演奏シーン、主人公をどん底に落とす理不尽な暴力描写、一匹の犬..といったモチーフ&演出がしっかり取り入れられたカウリスマキ節炸裂の佳作で、社会の下層(労働者階級)に生きる一組の男女の再生と愛情をテーマにした作劇にも安定のカウリスマキらしさを見出させてくれます。

主演もカウリスマキ映画に欠かせないマッティ・ペロンパー&カティ・オウティネンの個性派コンビが務めていますので、いずれの角度から見てもファンの期待に応える作品です(もう少しだけ犬を見せてください…)。
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