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哀れなるものたちのピポサルのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.6
奇妙でバカバカしいのに気がついたら泣きそうになってる。なんだこれ、こんな人間讃歌見たことない。幼児であったベラが外の世界に触れることで徐々に身体の感覚や価値観、思想を形成していく。その過程でまさに銃を突きつけられるがごとく純粋な感性や気持ちを押し殺してこの現代に生きていることに気づく。口に合わないものは吐き出し、自分が踊りたいように踊ればよいと。あのダンスシーンとてもよかった。ベラを支配しようとしていたゴッドとダンカンの違いもおもしろい。ダンカンは彼女が成長するにつれ惨めになっていったが、ゴッドはベラがありのままの姿でいることを許容して最期を迎えた。

ゴッドの家やリスボンの街並み、客船すべての美術が素晴らしくてランティモスだからこそ作り上げられる世界観なんだろうなと思った。あと2時間観ていたい。ランティモスらしさでいうと最後に残酷さを残して幕を閉じるのもよかった。
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