Oscar

哀れなるものたちのOscarのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.8

逆コナンくんのホームビデオ
~~居間では絶対流さないでね!~~


フィルム撮りの一本勝ち。
いろんな哀れなものが出てきたけれどこの質感で映し出したからこそ哀れ過ぎず汚すぎず悲しすぎず終始美しく描かれていたのだということに気がつく鑑賞後。
最初は「なんだコイツ」感が凄かったベラもそのよちよち歩きのようなぎこちない歩きからいつの間にかしっかり歩くようになって、最後には一人の女性として芯の強い人間に成長してるところを見るとなぜだか心の奥が少しじんわりと温かくなるのは不思議な話。
あんな変なフランケンみたいな出で立ちだったウィリアムデフォーも最後の安らかに眠るシーンでは何故だか少し寂しい気持ちになるのもまた不思議な話。
あんな変な映像の連続だったのに。
あんなにいっぱい卑猥なシーンがあったというのに。
とりあえず明らかにジャンルは「SFラブコメ映画」ではないだろGoogleくん。


感覚はパリの美術館を一館周ったような感じ。
あまりに芸術性の高い映像とカメラワークと衣装に一般人の僕は困惑しながらも、その主軸はあくまでも一人の人間の成長物語だったのでどこか理解はできたのがよかったところ。
観客を見放しすぎてない。
それでいて監督のきっとやりたかったことがぜーんぶ出来てたんやろなってくらい映像がとにかくぶっ飛んでる。趣味全開って感じ。
でもその奇抜な色彩もフィルムを通せばどこか温かみと親しみを覚える映像に仕上がっていたのが上手かった。
見てて別に不快感は起きないというか。
おせっせシーンも別に見てて不快には思いませんでしたね、少なくとも僕は。
その辺は日本人だからかしらね。エマ・ストーンのアレを見てもいやらしいというより美しいと思っちゃうよね。不思議。


最後の終わらせ方もこの監督らしいぶち込み方で清々しく思える。
束縛DV夫なんてみんなヤギの脳をぶち込んでしまえばええねんええねん。

あと最後の茶会に黒人の女友達も呼んでたのが凄く嬉しく感じたな。
ちゃんと友達を大切にする女の子に成長しとるやん。泣けるやん。
服もどこか子供服のような奇抜なものからシックな大人な服へ変わってるし。
綺麗だったなぁ、最後。


という満足感はかなりあったアートに生きる作品でしたね。
あと久しぶりにマーク・ラファロがクズ男ムーブかましててニッコリしちゃいましたね。
ああいう役もピッタリやわ。


とりま何かしらのオスカーは取りそうやなぁこれ。
海外の人の方がより好きそう。
選考員なんてみんな変態多いですもんね。
ねー。
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