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哀れなるものたちのsuzuのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.8
六道巡り×現代アートみたいな作品。夢野久作のような幻惑的な世界観。邦題すごく良いね。直訳でありながら日本的な情感を含んだ響きの言葉の選択。美学は違えど同じものを見ているのだと感じさせる。
さて、進歩とか改善とか言うて流行りの政治に乗っかってみても結局人は愚かな動物なのである。動物の本能に抗い理性を崇拝してきた西洋の歴史への皮肉。理性は歪んだ正義をつくりだし、進歩や改善を拒んだものは動物へと堕とされる。暴力で支配してきたように今度は理性で支配しようとする。かつての進歩は今の因循。かつての善は今の悪。エッグタルトは知恵の実か。しかし根源は愚かで野蛮な動物である人間。神に等しき存在になろうとする強欲な存在。ただただ現状に反抗する不合理で哀れな生命。
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