すごくワクワクする部分と倫理観がぶっ飛んでる映画だった。こんな映画初めて！！
すごいものに出会ってしまった。
何回か観て、今一度世界観と言いたい事を受け取りたいと思った。アーティスティックな映像美を今一度！
映像はアールデコ調を基盤としながら、未来的でもありながら、飛行機がゆっくり飛んだり、空の色が自然ではない、セピアになったり，カラフルになったり、何ともファンタジックな世界で語られる哲学的で現実的とも取れるストーリー
オープニングのインテリア、シルク地に刺繍がしてあり美しい部屋の壁のアップから始まる、ため息もの。
ヴィクトリアの青い甲冑を模したようなタックの入ったデザインの衣装は、色合いが美しく、レディマクベスを思い出した。
肩を強調した大きめのパフスリーブ、1970年代のドレスに子どもっぽさを加えるためのショートパンツ、幼い時は白を基調とした純真無垢な物を着用し、旅先のドレスはカラフルでキッチュな色合い、娼婦の時はシースルーの羽織を着て、学校に行く時は硬めの黒と白にニーハイという学生スタイル
ウェディングドレスも素晴らしかった
長身のエマストーンはなんでも着こなし、黒くて長い美しい髪、まるで生まれた時から一度も切ったことがないような伸び方と長さも映えていた
内容は一見、暗くも感じられるけど、ファインダー越しとか、ミニチュアに見せてみたり、カメラの撮り方や、どこか遠い国の話…と視聴者を現実から切り離すファンタジックな映像を挟む事で、暗さを感じさせない。グロテスクシーンはあるけど。
詳細に内容に触れていきます〜
胎児の脳を自殺したお母さんに移植したことで生まれた、"体は大人、中身は子ども"のベラ。コナンくんと反対笑😆
フランケンシュタイン博士の様なマッドサイエンティストが父親がわりになりながら、彼女を育てていく。ゲップがバブルになって外に出ていくシステムと、彼の育てられた背景の闇を時々感じながら話は進んでいく。
エマストーンが演技力で少しずつ幼児から知性のある大人に変化していく表現が素晴らしすぎる。探究心と好奇心が旺盛なところは幼児の時から片鱗を見せ、大人になっても魅力的な女性になっていく。ララランドの主演とは全く違って別人にしか見えない！裸の姿がだいぶ晒されるけど、そこまでセクシャリティを感じない不思議。
理性が無く、食欲、睡眠欲、性欲と本能のままに生きるピュアなベラ。ベラの口に戸は立たないし、彼女の好奇心を止めることは誰にもできない。
したいことは全部経験してみる。不安や慎重さが無いので、何でもとりあえず経験した上で自分に湧き起こる感情を見つめ、どうしたら自分が幸せでいられるか、あるがままに生きられるかを模索する。Try & Error
ベラを繋ぎ止めようとする博士と紙面上の婚約者、マックスをのして、食欲と性欲のかたまりのダンカンと大冒険に出るが、マーサとハリーとの出会いによって本能が快楽だったベラに知性がもたらされる。
本を読むこと、学ぶことの楽しさを知る。
知的なベラと対照的で肉欲的なダンカン。
ベラのステップアップに彼はついていけず、ベラは彼から卒業する。いつだって自分と向き合って前に進む人間は、どんどん先に進み、その時に必要な人と出会って、時を過ごし、別れと出会いを繰り返していく。
ベラはどこまでも自由
そして、自分の欲望や好奇心に忠実
貧困な人たちを見て、お金を施したくなるも人を疑う心がないので、親切ではない人に大金を渡してしまう皮肉
ベラは亀裂の入ったままのダンカンと無一文でマルセイユに降り立つと、今、自分に必要なものにフォーカスして身体を売り始める。
sex and moneyと合理的、EQがあまり育っていないのかな。娼婦になることで後に得る心の虚無感は初めのうち予想できないし、他の人と比べる事でダンカンが素晴らしいsexをくれる相手だとわかる。
でも、ただただ悲嘆するダンカンよりも行動的で問題解決能力が高いベラ
男性優位社会の皮肉りも描き、娼婦の社会で女性側が選ぶのはどうかしら？と素朴な疑問をぶつけるベラ
やっと大冒険を終えて、居場所を突き止められたベラはパリからロンドンに戻り、父親替わりであるゴッドと再会、ずっと待っていたフィアンセと結婚するかと思いきや、
ヴィクトリア(ベラの母体である母)の夫が現れる。そこでも彼女は自分の好奇心を優先し、夫についていく。彼女の辞書に責任や誠実という言葉はない。
夫のクレイジーさにベラの根本にある残酷さとヴィクトリアの自死の理由に気づく。
ベラの残酷さは若さゆえからだと思っていたけど、遺伝もあるね。
血は争えないもんだ。
だいぶ倫理観ぶっ壊れてるぞ！と突っ込みながらのハッピーエンド❤️
鶏犬が可愛い。渋谷パルコでヒグチユウコさんの描いたポスターも観れたし大満足
