今日も喉が痛い

哀れなるものたちの今日も喉が痛いのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.3
ランティモスって過去に監禁されてたんかというぐらい、とにかく人間が閉じ込められてるというシチュエーションが多い。今回もそこからスタート。

可愛い子には旅をさせよと言いますが、ベラを作り愛でていた神ゴッドもそれを許す。と言ってもベラは頭脳は子供、体は大人。ある日、禁断の果実リンゴを食べちゃう。下の口で。するとどうでしょう!なにこれ!気持ち良い!幸せ!お前もやれば、ほれ。やめなさい。次はキュウリでしようかな。やめなさい。そう、性の快楽を覚えたてホヤホヤ!興味津々!ですので旅の連れ添いセックスが上手いダンカンと熱烈ジャンプに溺れるわけです。その辺までは無邪気なベラを見てこちらも、うーんエマストーンの裸ですなぁ…凄い裸だなぁ…いやぁ裸だなぁ…それにしても裸だなぁ…好き。とあんまりエロくはないんだけどエマストーンがもっと好きになりました。

どんどん知識を増やし、価値観の違う人と出会い、世界を知り、社会を学び、自分という一人の人間を形成していき、自分の身体は自分のものである事を獲得していくベラ。一方、旅のお供ダンカンはベラにセックスさせろ、かわいいだけで良い、知識はいらん、従順でいろ、他の男とはセックスすな、この売女め!とベラをコントロールしたいだけのクズっぷりで、急成長していくベラとは反対に転げ落ちていく。
ベラの婚約者は彼女の肉体や精神の自由を尊重する。本来ならこうあるべきなんだろうなとは思う。
ダンカンを見てて笑ってましたけど、なんというか、自分はダンカンではないとは言い切れない部分はあるっていうのはあって。頭ではね、分かってるつもりなんですよ。でも実際は自分にもこういう面が隠れてるっていうか、中にいるっていうかさ、根付いてしまってるっていうかね。まだまだ根強い男尊女卑の時代に生まれ育った価値観が自分の中で生きてて、これからも、ベラの言う通り!みたいな顔してても、ふとした瞬間「女のくせに」が頭に浮かんでしまう事があるんじやないかなと。今までなかったかと自分に問えばそれは間違いなく“あった”ので。俺ってそういう感覚まだあるんだと自分にギョッとする事があるかもしれない。そういうのあるんじゃないかな男は。僕は大丈夫ですって男もいるかもしれんけどさ、本当か?とは疑うな。

かわいい衣装一つとっても語れそうだし、セットもすごい良いなと思ったし、フェミニズム的なところや『フランケンシュタイン』、デフォーの口から出る謎気泡玉についても語りたいところではあるが、やはりここは、“ヨルゴスランティモスは手コキに異常な執着があるのではないか説”を提唱してきた者として少し書かせて頂きます。
今回の『哀れなるものたち』を観てどう判断したらいいのか迷っています。
序盤ではベラが死体チンコでペチンペチン遊んでたし、娼館では子供達に教える際に摩ってたのでまったく見当違いな説ではないが、手コキに分類できるかはギリギリ微妙な所ではあります。微妙にさせて下さい!ここは一旦次回作まで保留にさせて欲しい!という結論に至りましたので、次回作まで持ち越しですね。

最後がちょっとだけ不満なのよ。
だってさ〜庭にはかわいいミックス動物がいたじゃん。俺はマジでケンタウロスとか出てくるんじゃないかと思ってワクワクしたんだけどあれでしょ。あれだけは期待はずれ。サチェロスとかパーンでも良かったんだけど。脳を入れ替えるっていうのが大事だからやっぱりダメなのか。脳と身体も入れ替えてゴッドを超えても良かったんじゃないのか!どうなんだい!

なにかと癖のあるランティモス作品ですが前作と同じく見やすいランティモスでございました。ご馳走様でした。