主人公の純粋で道徳や常識の先入観を持ち得ずに世の中のあらゆるものに新鮮なスタンスで出会っていく設定に必然性がある（たまたま田舎で育って純粋な性質でした、とかではない）ので、嘘くさく無い本当にそれっぽい反応として受け止められた。エマストーンの雰囲気とか演技力も相当あると思う。
ノイズ混じりに世界をぼんやりと認識する白黒の色彩から、新しい刺激や喜びに出会ったばかりのファンタジーっぽく少しゴテゴテなくらいに色付けされた派手な色彩を経て、残酷さや悲しみや知識や経験を蓄積して現実の人間（大人）と同じように世界を見る少し薄暗いリアルな色彩へ。
主人公の設定をうまく使ってリープフロッグ的に羞恥心とか節度とか良識とか善悪とか美醜とか支配欲とかを飛び越えぶち壊して、幸福や喜びや自由や好奇心や探求心や生きる力を突き詰めていく感じが爽快でもあると同時に、現実の自分たちが普段は無意識に目を背けたり鈍感になったり諦めたりしながら生きていることを突きつけられる苦しさも覚える複雑な感情。
最後のマティーニを飲むor飲まない、生かすor殺す、移植するorしない、の三連続の選択（最後のは深読みしすぎかも）を、「現実の人間（大人）」に近くなり全てを理解したベラが行うというのがとても象徴的だし現実世界を勇気づけるものに感じた。
ベラのようには難しくてもハリーのようには世界を見ていたい。
