近藤りょうや

哀れなるものたちの近藤りょうやのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

固定観念に縛られながら、また、恐れながら生きていることに気付かされる映画でした!

妊娠中の女性が橋から身を投げ自殺。
外科医のゴッドウィンはその死体を持ち帰って、女性の胎児の脳を女性自身に移植し、蘇生を成功させ、彼女をベラと名付け、実験体として育てる。


感情移入するというよりも、まさしく実験を見させられているような、そんな感覚に苛まれました。

ベラのやりたいこと、やりたくないことは、世間体は全く気にしない、純粋なものだからこそ、周りに力を誇示したがる男性特有のプライドなどがバカバカしく見えてくる。

ダンカンに誘惑されて駆け落ちをしたように見えたものの、ベラは純粋に外の世界を知りたい、色んなことを経験させてくれると思ったから着いて行っただけ。

純粋すぎるベラに絶望を与えようとする人には、むしろ新しい経験をさせてくれてありがとうとお礼を言う。

お金を稼ぐために自分の身体を売る、ということがよくないこと、恥ずかしいことのように言われる風潮があるけれど、ベラは自分の学びに時間を費やすために、お金を稼ぐ手段として娼婦をする。

「いやー、それはちょっとないよな…」と、無意識に思っていることを「何がいけないの?」と、純粋に問いかけてくるベラに、僕達は様々な偏見にまみれて生きる哀れなるものたちであると気付かされる。

外科医として、ベラを合理的に実験体として扱うはずが、純粋な心に魅了をされて、いつしか特別な感情を抱くゴッドウィンとマックス。

遊びのために連れ出し、どこかで捨ててやろうと思っていたダンカンも、本気でベラのことを好きになり、気がついたら精神年齢を追い越され、自分の思い通りにならないベラに嫉妬、復讐心を抱くようになる。


最後の展開は、やってることは倫理的にヤバいし、やっていいことなのかと言われると複雑ですが、とても滑稽で、ああ、人間って哀れだなあ。と思わされながらクスッと笑えてしまう、そんな締めくくりでした。

個人的な感想としては、男性は所有欲みたいなものがあるし、それを自分も持っているからこそ、自覚した上で善く生きなきゃなと思うと共に、それって結局周りの目を気にして生きてるよなと思って、ベラみたいに思うままに生きれたらなという憧れも抱きました。
ベラがかっこよく、新たな映画アイコンの誕生を感じて嬉しかったです!

でも、もしベラみたいに純粋に思うままに生きるべきなのであれば、それこそこの男性の所有欲というものも男性目線で見たら大事にすべき価値観なんじゃないかな〜とも感じて、生きるって難しいなとぐるぐる悩んでしまうことにもなっていて( ˘•ω•˘ )


「君たちはどう生きるか」よりも、どう生きるかについて考えてしまいました。笑笑
あの映画は、宮崎駿監督の高畑勲さんとの闘いが色濃く出ていた映画だったと、NHKの特番を観て感じました。笑笑


今週はエマ・ストーン祭りだった…
もっと好きになりました。😊