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哀れなるものたちのmのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.9
「フランケンシュタイン」から始まって女性の主体性の獲得に至るアッパーでクレイジーな旅路。ヨルゴス・ランティモス監督らしい奇妙な味わい(いつものヘンテコダンスも健在)を全開にしつつ、「女王陛下のお気に入り」から更に前進したフェミニズムの物語。ただし原作読者の方は色々と思う所があるそうなので、その辺りはちょっと意見が割れそうだし娼館の件とかも踏まえて自分ももう少し色々考えてみる必要はある。
本を投げ捨てられた主人公にすぐに本を手渡す老婆のタフな知性、娼館での同僚女性との長い付き合い、ヨルゴス作品初の痛快な女性達のラストに快哉を叫ぶ。
その一方で『哀れなるもの達』である男達にも(あの邪悪な彼を除いて)憐れみの視線が注がれていて、船で知り合う黒人男性へ最後に主人公が『あなたは・・』と向ける言葉、情けないエゴを体現するマーク・ラファロのクレバーなコミカルさ、ウィレム・デフォーの虐げられてきた哀しみ、と男性達の描き方にもそれぞれディテールがある。

幼い頃よりも大人になり落ち着いた時に演技力がより実感できるエマ・ストーンの俳優力に拍手を。
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