KATO

シチリア・サマーのKATOのレビュー・感想・評価

シチリア・サマー(2022年製作の映画)
4.0
どうしようもなさすぎて、何もできない自分が情けなくなるくらいに腹が立つ。

シチリアって陽気で開放的なイメージがあるけど、実際に色々と知っていくと真逆な場所だよなぁと常々思う(シシリアン・ゴースト・ストーリー見たときも思ったけど)。
住民の連帯感強いというか、土地柄もあるのか長いものに巻かれるというか……そのせいでこの事件の詳細が未だに判明していないというのがゾッとするし、ほぼ諦めの域だよね。

眩しいくらいの日差しの中で育まれる友情と恋。美しいというよりも、私は幼さを覚えた。花火に重なって、2人が笑いあう姿を見るほどに胸が痛くなった。
ジェンニとニーノの置かれている立場は正反対で、2人の関係がバレてからの対応も正反対。ありのままで生きようと言った父親は、息子が同性と関係があったことに怒り殴った。愛情ってなんなんだろうね。
あと、女性の生きづらさが苦しかった。誰かに頼らないと生きていけない世界なんてあっちゃいけないと常々思う。
ホモソーシャルにおける、男らしさの重視も見ていてツラかった。でもシチリアってそういう場所なんだなとも思った。私が思っていたよりも窮屈な場所なんだなって。
「男女関係なく、色んな人がいる」で完結できる世界になってほしい。

しかし、43年も経って、同性婚が認められていない国も多い現実に絶望的する。宗教観や文化が違うことはわかっているが、日本なんか見当違いの発言を繰り返す政治家もいるしな。
隣に暮らす人間が誰を好きかなんて、みんなそんなに興味あるのかな。誰を好きでもいいし、他人が誰かの幸せを推し量るなんて傲慢すぎる。
本当に腹立たしくて、見終わってから情けなさと苛立たしさが交互に押し寄せてきてつらい。
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