試験の結果を待つ16歳の少女で、別れが迫る親友のスカイとエムと連れ立ってロンドンからリゾート地であるギリシャのクレタ島にあるマリアへと訪れたタラ。バージンであることにコンプレックスを持ち、あわよくばこの旅で初体験をと望む彼女が、ホテルの隣室の少年達との出逢いを経て波乱のバカンスを過ごす様を描いたドラマ映画です。
高評価を得たシャーロット・リーガンの『スクラッパー』ら多くの作品で撮影監督を担ってきたモリー・マニング・ウォーカーが脚本から手掛けた彼女の長編映画監督デビュー作で、2023年のカンヌ国際映画祭のある視点部門で初公開されると批評家を中心に称賛を集め、ヨーロッパに留まらず米国や日本でも劇場上映される運びとなりました。
女性監督らしい視点で女の子の初体験を描く物語で、#MeToo後に多く作られるようになったフェミニズム的な立場からでなくあくまで等身大の少女を姿を描きます。あれを体験すれば。あの場所に行けば。その空気を吸うだけで高く跳べると思っていた幻想と、それでもそれに気付けたからこそあるわずかな成長という普遍を捉えた一作です。