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ブリーティの花
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『ブリーティの花』に投稿された感想・評価

CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

3.0
【】
『THE DEAD AND THE OTHERS』が個の話ならこちらは群の話である。João Salaviza&Renée Naderコンビがクラホ族の子どもの目線から徐々に村が侵略されていく恐怖を描く。スマホからの政治的メッセージ、得体の知れない銃声などが村を変容させてしまう様子を不気味に描いている。
2023年第1回北九州国際映画祭にて鑑賞。ジャパンプレミア作品。邦題は『ブリーティの花』。本作の監督はポルトガル人のジョアン・サラヴィザ氏とブラジル人のルネ・ナデル・メソラ氏。ブラジル先住民のクラホ族の物語。上映後、本映画祭の作品選定プログラマーである映画監督・近浦啓氏のアフタートークがあり、本作の鑑賞を補完する情報をご教示いただけました。このアフタートークがなければ、本作の魅力を真に理解することは出来なかったと思います。

ーー幻視と微睡
作中では、シャーマンは幻視が可能であり、とりわけ女性のシャーマンは魔力が強く様々なものが見えてしまうことが語られます。本作は、過去の様子の幻視と現代での民族のありようの描写によって構成されており、過去と現代のトランジションはゆるやかに行われます。この構成の妙については必ずしも明確には描かれないところに奥ゆかしさを感じました。またクラホ族の日常描写において時間感覚はとてもゆるやかであるように感じられ、まどろみにいざなわれるタイミングが複数ありました(そして、上記アフタートークにおいては、うとうととすることもまた本作の鑑賞態度としてアリであるとおっしゃられたことに救われました…)。

ーー幻視から直視へ
そして、たいまつの明かりと口笛と共に始まる唐突な殺りくと略奪。まどろむ精神に張り手が飛びます。もちろんこれは幻視ですが、観客は本作を通じて先住民への弾圧を直視させられることになります。登場人物は言います、「過去に先祖が血を流してくれたからこそ今の私たちがある」と。本作では本物のクラホ族の方々が出演されていますが(キャスト欄の各氏名末尾にkrahoとあることからも分かります)、そうした事情も映画全体にたいへんに重みを与えてくれています。民族融和への思いを感じました。

ーー配給と映画祭
本作は2023年カンヌ国際映画祭のある視点部門に出品され、 最優秀チーム賞(アンサンブル賞)を受賞してはいるものの、日本や世界各国においても配給は決まっていないそうです。その理由はいくつかありそうですが、配給が難しい作品と出会えるのも映画祭ならではといえます。滋味深い映画との出会い、そして素晴らしいアフタートークに感謝したいと思います。
wildcats

wildcatsの感想・評価

4.0
こちらもジャパンプレミア作品
守られるべき生活や尊厳のために戦うブラジル先住民族がテーマの作品。
1940年に実際に起きた先住民大虐殺。その史実と現代の彼らの生活を融合させ、美しい風景とともに物語が進んでいく。本物の先住民族の人たちが出演しており、恐らく撮影されることには慣れておらず、外部との接触もあまり好まないであろうと想像できる中でごくごく自然に演じていました。長い時間かけて信頼関係を築いたんだろうなぁーと。オフスクリーンでの努力は並大抵ではなかったでしょうね。観れてよかったなと思えた作品でした。

169/2023