ポスタービジュアルからは健全な話を想像したけれど、かなり振り切った大人の艶笑譚だった。そのタッチに最初こそ戸惑ったものの、次第に大仰な語り口を楽しめるようになり、エンドマークの出方には声を出して笑った。色々な意味でカメレオンのような柄本佑が狂気の均衡を保っていた。
監督は『月光の囁き』や『ギプス』、『麻希のいる世界』などを撮った塩田明彦だ。偏愛と狂気に駆られる人々を描くのが上手い。今回は肩の力を抜いた印象だけど、相変わらず好き嫌いは分かれる作風かも。
アカデミックに春画を知りたいという人には、本作ではなく、同時期に公開された秀作ドキュメンタリー『春の画』をお勧めします。