くま

女王陛下の007のくまのレビュー・感想・評価

女王陛下の007(1969年製作の映画)
5.0
【キャスト一新、アクションも一新。今回のボンドは、一味違う。】

マネーペニーの気に効いた”休暇”のくだりが良いです。
ボンドの退職届を書くよう彼から頼まれ、それをMに提出→本当は辞める気は無いのに、Mよりあっさりと退職を認められてしまったボンド→退職届は、実はマネーペニーがボンドの気持ち察し休暇届として出していたもの→ツンデレのツン状態だったボンドより感謝のキス、ある程度事情を察知していたのであろうMより感謝の電話。
実に微笑ましいシークエンスです。

スキー・チェイス。役者の顔を見せるカットではもちろん合成での撮影が施されていますが、スキーでのアクションは本物です。急な雪山を高速で駆け下りる銃撃戦、板が外れ片足だけで逃走を続けるボンドの姿に惚れ惚れとします。今見ても色褪せない、手に汗を握るアクションシーンです。007好きのクリストファー・ノーラン監督作「インセプション」終盤シーンの元ネタにもなっています。

そして私の最も好きなシーン。スキーでの逃走により遂にスケート場まで降りてきたボンド。しかし、彼の手には銃もガジェットも無い。未だに追っ手が差し迫るその渦中で頼れるのは、身を隠すためのジャケットの襟のみ。視線も姿勢も”あの”ボンドから無力感を引き立てる中、彼の前に現れたのは仕事として恋仲を築いていた彼女のトレイシー。”ブロフェルドの死の天使”に対して”ボンドの守護天使”とでも言うべきでしょうか。彼の窮地を救いにやってきたトレイシーの姿は、それまでより段違いに美しく見えます。あっけないシーンに、涙です。

2023's 88th

〜スコアの目安〜
★ - :鑑賞途中
★3.0:面白くない
★3.7:まあまあ面白い
★4.0:面白い
★4.3:めちゃ面白い
★5.0:好き
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