みむさん

愛する時のみむさんのレビュー・感想・評価

愛する時(2023年製作の映画)
3.5
フランス映画祭にて。

戦後のフランスを舞台にした暗い過去を持つ二人の約四半世紀に渡る山あり谷ありメロドラマ。重い。

それぞれをメインにして映画2本作れそうなストーリー(片方は「蟻の王」を思い出した)を1本にさらっとミックスしたような映画だった。
「あさがくるまえに」が良かったカテル・キレヴェレ監督 x アナイス・ドゥムースティエ、ヴァンサン・ラコスト共演。
冒頭の終戦間近のアーカイヴ映像で公の場所で辱められる女性の姿を見せられ、その後の暗い展開を予想させる。

シングルマザーとして息子を育てながらレストランで働くマドレーヌと考古学の博士号取得を目指す学生フランソワが恋に落ちる。
二人の秘密はわりと早めにわかるが、それでも過去よりも将来を見据えて前向きに幸せを掴む…というわけにはいかない時代背景。
時代が違えばもう少し前向きになれたかもしれないし、違う人生を歩んでいたと思う。

良くも悪くも過去がつきまとう。なんとか乗り越えた(ように見える)者、乗り越えられなかった者、衝撃的な終盤に愕然とした。
一方で長きにわたるわだかまりが溶けんとする姿には涙が出た。

米軍兵ジミーも重要キャラクターだったがもっと話に絡んでもよかったんじゃないか?とは思った。