「フランケンウィニー」にガッカリして以来、12年振りにティム・バートンの新作観たけど、なんかもう、オープニングの空撮観ただけで泣きそうになった。走ってる車を観て、前作から36年もの月日が流れたことを痛感させられた。
前作同様、さほど長くない尺の中でとんでもない情報量を詰め込むこの好き嫌い分かれる姿勢は変わらず。思うに、「ビートルジュース」の謎の中毒性は、このやかましいテンポ感から生まれてると思う。
あと、1988年にはできなかったような表現をCG使いまくってどんどん実現しちゃう感じとかもすごく良い。時代が追いついた感。
そして、ティム・バートンの70年代愛がとてつもなく炸裂してる。それは、主人公たちの過ごす部屋のインテリア(テレビやラジカセなど)、ウィレム・デフォーが引き連れるゴースト警官たちの服装、ソウルトレインの70年代NYの地下鉄まんまなデザインとその周りで踊る人々の文字通り「ソウルな」ファッションなどを見ても明らかだろう。ものすごく大事なところでピノ・ドナッジオの「キャリー」のサントラ流すのは、いくらなんでもエモすぎた。
それでいて、この映画はきちんと2020年代の映画だった。前作は、退屈な凡人家族に囲まれて孤独感を強める変人リディアが物語の中心にいた。しかし、今回物語の中心軸となるリディアの娘アストリッドは、変人ばかりの家族に囲まれて孤独感を強める常識人キャラだ。36年が過ぎた今の世界においては、多様性や個性を尊重することに疲れてしまったアストリッドのような「普通の」子供が現れたのだ。世界はかくも180度変わったのだ。それをティム・バートンがやるのだから、何だか考えさせられてしまった。
とりあえず、この映画を観てティム・バートンが心の底からモニカ・ベルッチ大好きなのはよく分かった。それくらい、モニカ・ベルッチ愛がとんでもなく炸裂している。これ以上なくお似合いでカッコいい熟年カップルだと思う。第二の人生、末永く幸せになってほしい。