ジャイロ

絞殺魔のジャイロのレビュー・感想・評価

絞殺魔(1968年製作の映画)
4.1
実際の事件を題材にしたセミドキュメンタリー?

女の敵、絞殺魔、ボストンストラングラー。独り暮らしの女性が次々と殺されてゆく。その手口は残忍で異常。決して顔を見せないその犯人によって、ボストンは瞬く間に恐怖のどん底に叩き落とされる。

あれ?二画面にしたっけ?

いや

違う

二画面に…

さ せ ら れ て る ん だ!!!

分断され、やがてひとつに繋がる画面の妙。こんな表現もあるんですねえ。

二画面は、三画面になり、四画面になる。どこ観たらいいんだこれ?ボストン中の変質者たちが同時進行でしょっぴかれていく様はワクワクした(変態みたいになってないかなこの文面)。

浮かび上がっては消えていく容疑者たち。全力で変質者を炙り出していく警察だが、その努力を嘲笑うかのように6人目の犠牲者が出る。

だめだ。警察だけに任せてはおけない。

ここで、ついにあの男がアサインされる。

生涯で5回も結婚した男…

ヘンリーフォンダがっ!!!

ヘンリーフォンダの女性遍歴はとりあえず置いといて、ヘンリーフォンダをもってしても手がかりは掴めない。それぐらい絞殺魔は手強い。藁をもすがる思いで、超能力捜査が、ついに始まる。

何この展開。熱い。

半分も観た頃だろうか。唐突に、物語の視点が変わった。ほほう。そうきたか。

次々と増えていく犠牲者たち。その姿はどんどん惨たらしくなっていき、異常性はどんどん増してゆく。ここへきてなお絞殺魔は止められない。誰にも止められない。と思った矢先についに事件が動く。想定外の事態から、綻びは徐々に拡がってゆく。

しかしだ。まだ物語は終わらない。終盤、三たび視点が変わる。今度は人間の内面から犯人を追い詰める。ここへ来て更に変化するか。なるほど面白い。

まるで別のナニカを観ているかのようだ。ラストの緊張感は異様。肌にべっとりと張り付いて離れないこの息苦しいほどの濃密な空気。なんだこのラストは!!!!