はる

イビルアイのはるのレビュー・感想・評価

イビルアイ(2022年製作の映画)
3.5
オンライン試写会にて一足先に鑑賞させて頂きました。監督は奇天烈ホラー『ダークレイン』などで知られるメキシコのホラーの作り手アイザック・エスバン。

本作の醍醐味は主人公を信用していいのか否か最後まで分からないというところ。村に伝わる魔女のおとぎ話を聞かされた主人公の少女ナラは祖母が魔女なのではないかと疑心暗鬼に陥っていくのだが、これがただのナラの妄想なのか、本当に祖母が魔女なのか紙一重で判断出来ない『ローズマリーの赤ちゃん』リスペクトな演出が施される。

序盤から伏線を張りラストで一気に回収する構成にはなっているものの、途中の説明が丁寧すぎる故に驚きは少ないのが残念。不気味な森の中では『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を意識したオブジェが並び『グレムリン』のようなクリーチャーを登場させ、残酷描写も出し惜しみせずどんどん投入するといった手数の多さは好印象。役者陣も寄りのショットでは顔の演技で魅せる。

魔女を題材とした作品は数多くある中で、本作の魔女の設定は吸血鬼をミックスさせたもので新鮮。そして美しい姿と醜い姿のギャップからはより異形の存在だと強く認識させられる。

オカルト、ヒトコワ、ゴアにクリーチャーとバリエーション豊かな恐怖を寓話でコーティングした手腕は見事。画作りやテンポの良さ、後半にかけての盛り上げ方と映画的に巧くストレスは殆ど感じないが、出来ればもっと攻めた物が観たかった。とはいえ最初から最後までサービス精神旺盛で、オカルトホラー好きには楽しめる作品に仕上がっている。
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