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ニンフォマニアック Vol.1 ディレクターズカット完全版のpakeのレビュー・感想・評価

4.1
ただ色情狂の女の色濃い人生を見せつけられるのかと思ってたら、インテリジェンスな会話劇との2軸からなる構成で、悲しいほど共感に容易い生き死にを丁寧に描いてる。さらにポップな編集や物知りなおじいさんのおかげで、生き死にの"面白おかしさ"を受け取りやすくさせてくれる。いつでも取り出せるところに置いておきたいので、この映画の脚本が欲しい。真偽は置いておいて、ジェロームとの関係が個人的に辛くて尊かった。

ラース・フォン・トリアーの作品は「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や「奇跡の海」しか観てなかったから、壮大で特別な悲劇の印象があった。でも今作と「メランコリア」を観てから、こんなにも親近感ある鬱を描いてくれてたんだなと印象が変わった。あと、思い切りよく音楽を使う点が好き。

「たとえそれ自体に意味はなくても、大事な基盤となる」
「繰り返される散歩は私の人生のメタファー」

大好きな小説のタイトルに入っているdeliriumがせん妄という意味なのを、ここで知る。
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