旅するランナー

リアリティの旅するランナーのレビュー・感想・評価

リアリティ(2023年製作の映画)
3.7
【不正のリアリティ】

米国の組織犯罪研究者ドナルド・R・クレシャーが提唱した「不正のトライアングル理論」。
これは、不正は「動機」「機会」「正当化」の3つの条件がそろってはじめて発生するというもの。
逆に一つでも条件が欠けていれば、不正は防ぐことができる。

国家機密を漏えいしたとして逮捕された、リアリティ・ウィナー。
彼女の自宅をFBI捜査官が家宅捜査し尋問する様子を録音した音声記録。
この録音記録を書き起こし、忠実に再現しています。
正真正銘の、リアリティさん逮捕シーンのリアリティ。

でも、残念ながら、以下のトライアングルにハマって、いまひとつ面白くはなかったです。
① FBI捜査官たちが(これもテクニックなんでしょうけど)えらくフレンドリーに彼女に5W1Hを問うていく。
② 彼女の不正のレベルがイマイチよく分からない
③ 大事な言葉を話す時に人物が消えてしまうのが鬱陶しい(これはピー音でもよいような気がします)

どちらにせよ、アメリカ国家安全保障局(NSA)たる機関が、情報漏洩に対してこんなにもザルで、彼女に「機会」を与えてしまったことも、組織としての責任を問われてしかるべきと思われます。
その後の顛末まではよく知りませんが、コンプライアンス遵守を肝に銘じて、どこにリスクがあるか分からないリアリティな現実社会を生きていこうと思います。