ちゃわ

リアリティのちゃわのレビュー・感想・評価

リアリティ(2023年製作の映画)
4.1
奇妙な名前だが、リアリティは彼女の実名である。
ある日買い物から家に帰ってくると、FBIが待っていた。彼らは紳士的で、にこやかにペットの話、ジムの話など、世間話をしだすが、着々と侵入禁止のテープが現場に貼られ、捜査官が家の中に入っていく。

リアリティは、80キロのウェイトリフティングができる、タフな元空軍でもあり、家のベッドカバーはピカチュウ、冷蔵庫にはナウシカの絵、車はCUBEに乗り、保護犬と猫を飼っている、優しそうな25才の女の子でもある。

FBIは柔らかい口調で、彼女に触れることもなく、ただ質問を続けていくが、実は全てを知っている。ただ、なぜこんな事をしたか、彼女の人柄(嘘つきか)と、何が目的かを探ろうとしている。彼女も動揺していないように、気丈に振る舞った。しかしそのやりとりの緊迫感がすごかった。そして徐々に何をしたかが分かっていく。

彼女は翻訳家で、NSAに契約社員として働いている。国家機密情報にアクセスすることができ、2016の年大統領選でロシア政府がトランプ氏に有利になるよう、ヒラリー・クリントンの陣営にハッキングを仕掛け、選挙戦に介入したというネタをインターセプト(ネットニュース)にリークした。そのインターセプトが情報が正しいか確認する際に、彼女の名前をうっかりバラしてしまったらしい。この映画は、彼女の家に着いてから逮捕までの100分程の録音を元に、再現されている。よって言い間違い、どもり、答えるまでの空白の時間、別の捜査官の声なども入っていて、まさにリアリティがあった。

Hands Up! FBIだ!みたいな感じをイメージしていたので、全然違って面白かった。ペットのことを気にしていたり、水を飲むか?座るかなど、リアリティの事を気にかけていた。もしかしたら彼女がリークしなければ、トランプとロシアの事は永遠に表沙汰にならなかったかもしれない。情報漏洩は罪だが、彼女の勇気に敬意を表していたのではないかと思った。

そしてそんな疑惑のトランプがまたしても当選し、大統領になっている。リアリティは今年の11月に釈放予定だ。
ちゃわ

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