茶碗むしと世界地図

貴公子の茶碗むしと世界地図のネタバレレビュー・内容・結末

貴公子(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 パク・フンジョンの最新作である。

 タイトルや予告なんかを見ると重厚なノワールっぽいなと思っていたところ、実際に見てみると気楽に楽しめるところの多い作品になっている。お話はSF設定なしの『ターミネーター』という感じで、面白いのは守られる存在であるマルコ(カン・テジュ)が守ってくれる存在の貴公子(キム・ソンホ)に対してはずっと懐疑的というところだ。ある種のでこぼこコンビとなって四苦八苦する様子はうまく描かれているし、貴公子が本当にやばい人みたいに見える時もあれば救世主に見える時もあるのが実にいい。そのへんのバランスをキム・ソンホが絶妙に入り交じった演技で表現していて、映画初主演でたいしたものだと思った。
 また、この作品は貴種流離譚の説話構造を使っているが、結局は血筋というオチではなく、ばかばかしいものとして描いているのは良いと思う。一方でフィリピンでの韓国人男性の無責任な行い、いわゆるコピノ問題を扱っているのもいかにも韓国映画らしい。

 全体的にとても面白かったのだが、アクションは「THE WITCH 魔女」と比べると精彩に欠けるところもあり(キム・ソンホが不慣れだったのかもしれない)、また、貴公子のキャラ紹介に徹したような感じもある。しょうもないオチも考えると続編を作る気満々なのだろうし、この調子でもっと貴公子を見たいと思った。