1994年に公開された舘ひろし主演のコメディである。
なんかホイチョイ・プロダクションズみたいなノリの実に軽薄なコメディという感じなのだが、それにしても甘ったるいお話で勘弁してほしいと思った。真面目で傲慢なところもあるスターの南条（舘ひろし）が運転免許取得を通して人として成長するという葛藤構造は一応あるが、結局のところ南条は周囲のスタッフの協力なしに何もできない甘やかされたスターという印象を受ける。見ていてこいつ何も乗り越えてねーじゃん！とツッコミたくなってしまうくらいだし、もはや運転の才能が一切ないのではと思った。
脚本にもいろいろ問題はあると思うが、やはり舘ひろしの演技がぱっとしない。どこにいても注目を浴びるほどの大スターというウソみたいな設定なのにちゃんと人間味のあるキャラクターを作り上げることが南条の人物造形のポイントなのだが、表層だけでイマイチである気がする。スターらしい華はあっても、舘ひろしって実はこういうコメディは向いていないタイプなんじゃ……という誤算をそこかしこから感じる。
脇を固める役者陣は大変良く、とくに片岡鶴太郎がイヤな感じに満ち満ちた指導員の暴田を演じておりすごくうまい。鶴太郎を役者として見たことが今まであまりなかったが、とても芸達者なんだなーと思った。
