ちこちゃん

ダンサー イン Parisのちこちゃんのレビュー・感想・評価

ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)
4.3
好みの作品でした。

踊ることは、歌うことと同じで、体を道具にして使うため、多くの人が普通にできることです。
だからこそ、そこで秀でることは難しいと思います。本映画のように、クラッシックであれ、コンテンポラリであれ、体の筋肉を自由に操れることは極めて難易度が高いことだと思います。それ故に、美しいのです。
体を使う俳優さんたちも、同じであり、眉を片方だけあげたりして、表情を作れる方を見ると、尊敬してしまいます。

本作品は、クラッシックバレエのプリマである女性が怪我をし、自分の人生を見つめ直しコンテンポラリーダンスに出会い、2度目の人生を生き直す映画です。そこに、恋愛が入り、父親との関係が横軸のように埋め込まれています。

筋は単純で驚きもないですが、踊る体の美しさ、パリの風景、そして、フランス人の自由さ、ストレートな物言い、感情の爆発を目一杯感じることができます。
責任は伴いますが、何者にも縛られず、自由でいられる環境に憧れます

「順調であることは、一部の特権のある人のものである」なるほど、そういうことも考えなければと思いました。

ぎこちない愛情表現しかできない父親が可愛かったです。世の中の多くのお父さんはそうなんだろうと思いながら、観てました。

体を道具として使う職業は、必ずその職業が終わる時があり、第二や第三の人生を生きなければなりませんが、この映画のように、ポジティブでいられたら幸せかもしれません。少しキレイに描かれすぎかもしれませんが、それもいいかなと思ってしまえる映画でした。

劇伴も、ロックもあり、エンドロールでチュチュを着ながらコンテンポラリーを踊るところが良かったです。

開明獣さん、良き映画をご紹介いただき感謝です。
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