イーサン・コーエンによるクライムコメディ。レズビアンの女の子二人が、引っ越しついでに引き受けた配達にギャングの積み荷が紛れ込み…というお話。
イーサンと言えば「ファーゴ」「トゥルーグリッド」など名作目白押しのコーエン・ブラザーズの片割れであり、彼一人でもチケット代くらいは楽しめるでしょと安心してたが、うーん…。
85分という上映時間に「『本当に分かっている』奴は90分以内にまとめるよね」みたいなシネフィルしぐさをカマしていたのに作品が合わないとどうにもならない。まあ光るところはあるんですけどね。その分自分だったらああするかしらこうするかしらと色々考えよけいに疲れた。
黒幕ののたまう「オレも昔は自由市場を信じていた…」というセリフは多面的かつシリアスな問いを感じさせるのに(特にアメリカみたいな自由と平等の国においては)、そこまでの前フリが平坦すぎてイマイチしまらない。
いくらでも「深みのある作品」ぶれるポイントにめっちゃしょうもない要素いれてくるのは好きだった。
ダブル主演を務めるジェラルディン・ヴィスワナサンはインドやスリランカ地方にすむタミル人の血を引くという事で、作品が続くのも納得の可愛さだった。あまり癖のないルックスでいちばん人気とかにはならんかも知らんけど多様性が叫ばれる時代に一番得するのはこういうタイプなのかも。正直公式インスタはおろかゲッティイメージの画像まであさるレベルで好きなのでアホだけど奔放な友人と堅物な彼女~みたいなテンプレはいいからさっさとイチャイチャしなさいと思った。マーガレット・クアリー演じる相棒のサラリとした「彼氏面」も楽しい。