◆あらすじ◆
1970年代の韓国の漁村のクンチョンでは化学工場の廃棄物で海が汚され、地元の海女たちには死活問題となっていた。海女のリーダーのジンスク(ヨム・ジョンア)は生活のために海底から密輸品を引き上げる仕事を請け負うようになる。しかし、ジンスクたちの作業中に税関の摘発に遭い、ジンスクたちは逮捕され、ジンスクの親友のチュンジャ(キム・ヘス)のみ現場から逃亡する。それから2年後、再びクンチョンに戻ってきたチュンジャはジンスクに密輸の仕事を持ちかけるのだが...。
◆感想◆
韓国の漁村を舞台に海に沈めた密輸品をめぐって海女やギャング、税関たちが壮絶な戦いを繰り広げるストーリーとなっており、過去の出来事の真実や現在の欲望にまみれた悪党たちの思惑などが入り混じっての騙し騙されの攻防戦が楽しい作品となっていました。
最初に2年前の漁村クンチョンでの密輸からジンスクたちが捕まり刑務所で過ごすまでの一部始終を描き、それから現在のストーリーが始まります。2年前の出来事もテンポよく描かれており、それでいてラストにつながる伏線にもなっていて、ストーリー構成が上手いと思いました。
現在では、チュンジャだけ逮捕を免れたことで、ジンスクたち海女はチュンジャが税関に通報したと思っており、チュンジャとジンスクの間で険悪な雰囲気が流れます。しかし、ジンスクは仲間が負傷して大金が必要になったためにやむを得ずチュンジャの密輸の話に乗ります。一方、チュンジャもソウルで密輸ブローカーのクォン(チョ・インソン)に追いつめられていて、チュンジャもやむを得ずジンスクに密輸の話を持って行った経緯があり、人間関係がどの部分でも一筋縄では行かないようになっていて、誰が敵で誰が味方か分からない展開になっていき、スリリングなドラマが楽しめました。
クォンはクンチョンの村でギャングでジンスクの弟のドリ(パク・ジョンミン)と手を結びますが、その裏ではどちらも相手を出し抜こうとしており、終盤にはアクション映画かと思うほどの激しい戦闘シーンが繰り広げられていて、その迫力は見事としか言えませんでした。
その一方で密輸を取り締まる税関の長のジャンチュン(キム・ジョンス)が目を光らせていて、彼もストーリーに関わってきます。多くの登場人物が絡んでくる本作なのですが、それぞれの思惑やその行動に個性がしっかりついていて理解に困ることはありませんでした。この入り組んだ人間関係の中での争いが本作の一番の見どころといえます。
最後まで目の離せない骨肉の争いとなっていてとても面白かった。人の欲望の醜さが十二分に描かれた作品であると同時に女性たちの怒りも描かれていて見ごたえがありました。
鑑賞日:2025年1月14日
鑑賞方法:U-NEXT