Monsieurおむすび

映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)のMonsieurおむすびのレビュー・感想・評価

3.9
#ドラえもんのび太の地球交響楽
地球の共通文化「音楽」と映像表現とが噛み合ったエモーショナルな瞬間を大人から子供まで味わえる快作に仕上がっている今年のドラちゃん。

リコーダーが下手なのび太が、みんなと演奏する為に練習する姿や、下手なのび太を仲間はずれにするのではなく、仲間たちがその個性的な音に合わせて合奏することで生まれる新たな調和の喜び。
古くからそうして紡がれてきた音楽という芸術やどんな時も協力し合える人間の本質が描かれている。
映像と劇伴とストーリー、必要性として敵キャラも含めてとなると、少し回りくどくなり停滞していたパートもあったが、そういった難しさに挑戦する意欲も感じた。

世界中の至るところで奏でられる日常的な音楽たちの細かいカットがラスト近くにあったが、その中で戦場でハーモニカを吹く兵士の1コマがあった。恐らく「戦場のアリア」を意識したものだと思う。
どんな悲惨な状況でも戦いの道具にならず、自分という個性を持つことの大切さを表していて、本作の音楽も戦うためのものではない。
1人1人が自分の音を奏で、誰かの音に耳を傾けることで平和が築けるという反戦と人間性へのポジティブなメッセージが、今年のドラちゃんの核心だったのではないかと思う。
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