misty

インビクタス/負けざる者たちのmistyのレビュー・感想・評価

4.3
イーストウッドがスポーツ映画を撮るとこんな感じになるのか…淡々と、ウオー!と燃えることもなく(燃えてるんだけど)落ち着いて進んでいくのにやっぱり手に汗握って見入ってしまうのにはイーストウッドの手腕を感じずにはいられない。すごく映画的な展開なのに嘘のような本当の話!

中心はあくまでネルソン・マンデラ大統領なのでスポ根な印象が全然ない。試合シーン、スピード感がないのに目が離せない。決勝戦の臨場感がすばらしい。そこに抑えた音楽がすばらしい。南アフリカのアクセントで話す俳優たちがすばらしい。全部包み込むようなイーストウッドの視線に「赦し」がある。

映画だけ観たらすごく予定調和なんだけど予定調和だからこそ安心して観れるのか…基本的に悪い人がいないからそれだけで心の負担が軽い。スポーツの手にかかれば一瞬だけでも魔法がかかるから!隣に違う人種の知らん人いてもイエー!つって肩組めるくらいの魔法はかかるから!心に風が吹く映画だった…

ボディーガーズがだんだん仲良くなってくのがいちばんよかった。大統領をお守りするのがお仕事だけど、目の前の試合も気が気じゃない彼ら最高だった。「つまりどういうこと?」「延長戦だよ」「ハーもう耐えられん」わかるその気持ち!ていうか試合についていけてないあなた愛しい!

都合のいいとこだけ切り取って都合のいいようによい映画になるように編集したのだろうけど、それでも客席で、テレビで、ラジオで、息を止めて観ている人たち、手を叩いて喜ぶ人たち、何気にジュース買ってもらってる少年、あの歓声に気持ちが溢れる。いっぱいになって、観終わったあとは元気になれる。
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