辛いなぁ……
どうしても上手く生きられず何とか生きるためには手段を選ばずには得られなかった。
彼女はただ普通を得たいだけだった、俺たちが当たり前に生きて贅沢にも物足りないと思っている日常はある者にとっては羨むほど素晴らしいものなのだと実感させられた。
市子は劇中で何度も色々なものに「好き」と言う。
その対象は我々からしたら当たり前のもの。
「それ嫌いなやつおらんやろ」という台詞が彼女との差を表していたと思う。
真実を知った上で市子が好きを楽しんでいた時の事を思い出すと胸が苦しくなった。
一度幸せを味わってしまったからこそ取り戻したいと強く思ってしまったのだろう。
高い所から落とされると余計に辛く感じる、だからこそ這い上がる事を求めてしまう。
自分は何度か今の普通を物足りなく感じてしまった事がある。
しかしそれこそ贅沢だったのだ。
今を噛み締めて生きていこう、そう決意しました。
最後のモノローグ、涙が止まらなかった。
「ただいま、おかえり」と言える環境が本当に美しいのです。
好きなものは好きでいて良いんだ。
登場人物の言動や感じるものがどれも現実的で良き。
確かに上手い物語の構成としてはちょっと違う所はあるかもだけど現実を描いているというのが伝わって来てまるで本当にあった出来事かのように思えて来る。
つまり現実で起こり得る話。
これはフィクションだけど誰にも知られずに今もこのような事が起こっている可能性があるとすら感じてしまった。
ニュースで流れた時は痛ましく感じるけどすぐ忘れてしまうような事件。
自分たちには関係ないけど当事者たちからすれば全て。
これからはニュースで事件を知る度にこの映画を思い出す事でしょう。
やはり現実を感じさせる物語は素晴らしい。
大好きな傑作です。
