甲斐てつろう

第9地区の甲斐てつろうのレビュー・感想・評価

第9地区(2009年製作の映画)
4.2
もし宇宙人がこの地にやって来たら。
そのリアルを最も描いた映画だと思う。

人間ではないから好きにして良い、生きた心のあるものと思わない。
ただの実験材料であり好奇心を満たすためだけの道具でしかないといった演出は独裁国家のようにも思える。

宇宙人と化してしまった人も既に好奇心の材料。
"標本"と作中で表していたがその表現こそ全てだと思う。

心がない人間の恐ろしさというものを見事に描いた映画だと思った。

話の中で自分が差別していた側の存在に近づいてしまった事で相手を知る機会を得て徐々に絆が芽生えていくという展開は素晴らしい。
それこそが問題を解決する兆しなのだと思った、彼らこそが希望だった。

初めはクズで差別的でも相手の事情を知れば変われる。
非常に考えさせられる素晴らしい映画だった。

差別を終わらせる方法をこの監督は見出していたのかも知れない。
甲斐てつろう

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