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市子のkarmapoliceのレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
3.3
戸田彬弘監督、脚本、上村奈帆脚本、杉咲花、若葉竜也、森永悠希、倉悠貴出演、 茂野雅道音楽、春木康輔撮影、2023年作品。原作は戯曲「川辺市子のために」(戸田彬弘)。

けっこうな高評価もあって観てみた。なるほど斬新な邦画のムードがあった。序盤は「ある男」ならぬ「ある女」的なサスペンス(物語)を想像するが、けっこう違った。主人公「市子」を中心にこれでもかと闇を観せて行く展開。内容はもちろんの事、映像の方もかなり闇。極端に言うとスマホで撮影したかのようなハンディの動く視点が多く、ライティングも人肌を美しく照らすようなものを排除して薄暗い画面を徹底している。あえてその徹底した演出が奇妙な臨場感を作り出しているのは印象的でもある。

あと問題提起するには少々描き込みが足りないと言うか、市子は罪を償うに等しいほど、辛い目に遭ったり、苦労を重ねましたか?!と言いたくもなる。いつも悲しい目をしてるのだけど・・・・。

ある意味闇展開をスタイリッシュに描いて惹き付けることに成功はしているものの、あまりにも救いがない気がした。何だか内容的には実は絶望しかない気もしてしまった。総じて「ある男」とは全然別物の作品のように思う。キャストの演技は皆素晴らしく、杉咲花は特に強烈で良かったが、内容はけっこう疑問が多く余韻が良くない気がした。
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